この記事でわかること
- 四柱推命という、二千年を越えた命の設計図
- 玄妙なる時空の書 命式を立てる無料ツール
- 実例 本田宗一郎の命式を読む 寒木向陽の少年
- moco流の読み方 日干と月支の二文字から始める
- 玄妙なる時空の書 あなたの八文字をそっと開く
- 四柱推命が得意なこと、不得手なこと
一九〇六年十一月十七日、静岡県磐田郡光明村(現在の浜松市天竜区)に生まれた、鍛冶屋の長男、本田宗一郎。のちに世界のホンダを創業し、二輪と四輪で地球を駆け巡る男の子でした。四柱推命学で彼の命式を立ててみると、年柱丙午、月柱己亥、日柱乙丑。「寒木向陽」というきわめて美しい配置が、少年の背中に静かに書き込まれていたことが見えてきます。

二〇二六年十月十日、きょうの星読み新聞は、東洋占術の王様とも呼ばれる「四柱推命学」を題材に、生年月日と出生時刻を入れるだけで命式を立ててくれる無料鑑定ツール「玄妙なる時空の書|四柱推命学」のご案内を、本田宗一郎の命式読みとあわせて、moco流の歩幅でお届けしてまいります。
四柱推命という、二千年を越えた命の設計図
四柱推命の原型は、紀元前の中国戦国時代、鬼谷子の学派にはじまると伝えられています。それを体系化したのが、唐の時代の李虚中、そして宋の時代の徐子平です。徐子平が十干と十二支を四つの柱(年柱、月柱、日柱、時柱)に組み合わせ、人の生まれた時空を八文字で表す「子平命学」の形を整えたことから、四柱推命は別名「子平八字」とも呼ばれるようになりました。
その中核にある発想は、きわめて壮大で、同時にきわめて具体的です。宇宙を木、火、土、金、水の五つの気の循環としてとらえ、生まれた瞬間の天地のバランスを十干十二支という記号で切り取る。切り取られた八文字の中に、その人が生涯を通じて使うことになる気の配合比率が、ほとんど処方箋のように書き込まれているという考え方です。
四柱推命の読みの中心にあるのは、日干と呼ばれる、生まれた日の天干の一文字です。この日干こそが、その人の本質を象徴する「わたし」の一文字。残りの七文字は、この日干を取り巻く環境、季節、支え、試練としてはたらきます。日干がどの季節に生まれ、どの気の助けを受け、どの気の試練を抱えるか。その配合を読み解くことが、四柱推命の鑑定の背骨になります。

玄妙なる時空の書 命式を立てる無料ツール
mocoが四柱推命の鑑定で用いている無料ツールが、「玄妙なる時空の書|四柱推命学」です。玄妙とは、言葉で言い尽くせない深い妙味。あなたの生まれた瞬間の時空を一冊の書物として、月光のもとでそっと広げてご覧いただく、という願いを込めた名前です。
使い方は、生年月日と、わかれば出生時刻、生まれた都道府県、性別を選ぶだけ。出生時刻が不明な方は時柱なしで、残り三柱(年柱、月柱、日柱)だけでも鑑定を立てることができます。日干と月支、そのほかの柱の支えが整えば、命式の背骨は十分に見えてくるのです。出生地は、各都道府県の経度差による正確な太陽時補正に使われます。
実例 本田宗一郎の命式を読む 寒木向陽の少年
一九〇六年十一月十七日、本田宗一郎の生まれた日の命式を立ててみます。年柱は丙午、月柱は己亥、日柱は乙丑。日干は乙、冬の始まりである亥月に生まれた、柔らかい木の人、というのが本田の本質を映す最初の一枚です。
乙木は、十干のなかでも繊細な気質を持つ記号です。甲木が真っ直ぐな大木を象徴するのに対して、乙木は蔦や蘭、季節の花や柔らかな草木を象徴します。しなやかに巻きつき、小さな隙間からも光に向かって伸びてゆく。この乙木が十一月、亥の月、つまり冬の入口に生まれているのが、本田の月柱の配置です。冬の木は、そのままでは寒さに縮こまってしまう。だから古典は、冬生まれの乙木を「寒木」と呼び、太陽の火を求める宿命をもつと読みます。
そして、本田の命式を眺めると、まさにその太陽の火が、年柱の天干に輝いていました。丙火。十干の丙は、太陽そのものを象徴する陽の火です。しかも年支の午にも火が通っていて、年柱全体が煌々と光を放っている。乙の寒木が、年柱の丙午という太陽に向かって伸びてゆく。四柱推命の古典が最高級の配置のひとつとして称える「寒木向陽」の見本のような命式が、少年本田に生まれつき授けられていたのです。

日柱の納音は「海中金」。これは十二運の深い金属、海の底に沈んだ原石のような気質をあらわします。「あいつ、何をするか分からんが、きっと何かを掘り当てる」という周囲の予感を映す納音です。鍛冶屋の長男として生まれ、八歳のときに自動車を初めて目にして、その油の匂いに生涯取り憑かれ、やがてエンジンという鋼鉄の光を世界に届けていく道筋と、海中金という納音は、不思議なまでに同じ景色を描いています。
さらに注目したいのは、本田の月支亥が、日柱から見た空亡に当たっていることです。空亡とは、六十干支のサイクルで日柱の属する「旬」から外れた支のこと。甲子旬に属する乙丑日の空亡は、戌亥。月支亥がまさにこの空亡に重なります。空亡の月支を持つ人は、月柱に象徴される青年期から中年前期、つまり二十代から四十代前半にかけて、常識や前例の枠からはみ出した道を歩む相が強く出ます。本田が二十代の町工場からピストンリング製造の独立をはたし、四十二歳で本田技術研究所を立ち上げるまでの、まさに型外れの歩みは、この空亡の月支としみじみ重なってきます。

moco流の読み方 日干と月支の二文字から始める
命式の八文字は、プロの鑑定士でも読み解きに時間がかかる情報量を抱えています。moco流の読み方は、まずその濃密な八文字から、日干と月支の二文字だけを抜き出すことからはじめます。日干が「わたしは何でできているか」を示し、月支が「わたしは何の季節に生まれたか」を示す。この二文字の組み合わせだけで、人のおおまかな気質がすでに八割がた見えてくるのです。
本田の例であれば、「乙木が亥月に生まれた」で、もう「冬の柔らかい木、暖かな光と火を求めて進む人」という骨格が立ち上がります。あとはその骨格に、年柱の丙火という太陽の恵み、空亡の月支という型外れの青年期、海中金という日柱納音の重さを、ゆっくりと重ねていけばいいのです。
ご自身の命式も、まずは日干と月支だけに視線を落として、「わたしは何の気の人で、何の季節に生まれたか」の一行を自分なりにつぶやいてみてください。そのつぶやきが心に馴染んだころ、残りの六文字を、季節の支え、年柱の恵み、時柱の晩年という順にゆっくり読み足してゆく。四柱推命は、急いで答えを得る占術ではなく、生涯かけて付き合う気の処方箋なのです。

玄妙なる時空の書 あなたの八文字をそっと開く
いまご覧いただいた本田宗一郎の命式読みは、玄妙なる時空の書が実際に出力してくれるのと同じ構造の情報から立ち上げました。ご自身の生年月日とできれば出生時刻、生まれた都道府県をお手元に、どうぞ一度ご自分の八文字を開いてみてください。玄妙なる時空の書|四柱推命学から、ご自分の命式に、どうぞ出逢ってみてください。
四柱推命が得意なこと、不得手なこと
四柱推命が得意にしているのは、生まれ持った気質と、生涯を貫く大運の起伏を、時間軸に沿って立体的に描き出すことです。紫微斗数が十二宮という生活場面の間取り図を一枚に広げるのに対して、四柱推命は時間軸での波の形をなだらかな曲線として見せてくれる占術です。十年ごとに巡る大運、一年ごとの年運、そして日ごとの流日まで、入れ子になった時間の層を一本の帯のように読み通すことができます。
いっぽうで、四柱推命は寿命や病気の診断、他人の心の中身を透視する目的には用いません。見えるのはあくまで気の配合であり、肉体の病や法律の判断、刑事事件の解決は、それぞれの専門家にお任せするのが筋です。また、同じ命式を持った人は六十四万通りに一人のレベルで世界に存在しますから、命式は「あなたそのもの」ではなく「あなたの気の設計図」として受け取っていただくのが、健やかな付き合い方になります。
はじめて命式に触れる方は、どうぞ日干と月支の二文字だけに視線を落としてください。残りの六文字は、二文字の背骨が腑に落ちてから、ゆっくり読み足していけば大丈夫です。八文字すべてを一度に読もうとすると、戦国武将ではないわたしたちの日常には、情報量が多すぎてしまいます。

むすびに 寒木にも太陽は巡ってくる
本田宗一郎の寒木向陽の命式を例にお話ししてまいりましたが、四柱推命の面白さは、何も世界企業を創った人の人生だけに宿るものではありません。むしろ、冬生まれの柔らかい木の人も、春生まれの硬い金の人も、夏生まれの火の人も、秋生まれの水の人も、それぞれに固有の季節の宿命を授けられて生まれてきていて、その宿命をどう生かすかが、命式の美しさを決めるのだと思います。
宋の徐子平が子平命学の形を整えたとき、きっと彼は、人の運命を固定された予言としてではなく、季節に沿って変化する動的な処方箋として、後世に手渡したかったのだと思います。寒木に生まれた人は、太陽の火を探して進む。夏の火の人は、水辺にそっと身を寄せる。それぞれの季節のバランスを、自分の人生のなかで微調整していく技が、四柱推命の実用の中心です。
きょうという土曜日、玄妙なる時空の書の扉を開いて、ご自分の八文字に初めてのご挨拶をしてみてください。寒木であろうが、炎天下の金属であろうが、春の泥であろうが、どの命式もひとしく、唯一無二の尊い配合です。あなたの命式が、これからの日々のやさしい処方箋になりますように。

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著者:moco|占術家・セラピスト
※本記事は四柱推命学の視点に基づく読み物です。健康上の問題、法律上の判断、投資判断等の専門的助言を目的としたものではありません。重大な決定は専門家にご相談ください。
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