タロット・ルーン・宿曜・数秘術で読む、カープと指定薬物問題の核心
私は今回、この記事を書くにあたって、ひとつだけ最初にお断りをしておかなければなりません。
七月十三日、ある週刊誌が、指定薬物の譲渡で起訴された人物と、広島東洋カープの現役選手三名が一緒に写った写真を掲載しました。三名の実名も報じられています。けれども、この記事では、その三名のお名前を記しません。そして、その三名に対して占術を用いることも、一切いたしません。
理由は単純です。現時点で確認できている事実は「同席の写真がある」ということまでであり、同席は、使用の証明ではないからです。三名は何ら訴追されておらず、推定無罪の原則の下にあります。占いという営みには、人の心を動かす力があります。だからこそ、それを実在の個人に「クロ」の匂いを着せるために使うことは、決してあってはならないと私は考えています。
ですから今回は、人ではなく、この問題の「かたち」そのものを読み解きます。事件の日付。そして、沈黙という選択。そこに何が映っているのかを、ゆっくりと見てまいりましょう。
何が起きているのか
時系列を、事実だけで整理します。
- 二〇二五年十二月十六日……当時カープに所属していた羽月隆太郎氏が、県警の尿検査で指定薬物エトミデートの陽性反応を示す
- 二〇二六年一月二十七日……羽月氏が医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕される
- 一月三十日……広島県警がマツダスタジアムと大野屋内総合練習場を家宅捜索
- 二月二十四日……球団が羽月氏の契約解除を決定
- 五月十五日……羽月氏に拘禁刑一年、執行猶予三年の有罪判決。公判で「周囲にも吸っているカープの選手がいた」旨を証言し、球団は育成を含む全選手の再調査方針を表明
- 七月十三日……週刊誌が、譲渡側として起訴された会社役員と現役選手三名・羽月氏が一緒に写った写真を掲載
- 七月十四日……鈴木清明球団本部長(72)が報道陣に「週刊誌の報道に関して、コメントすることはない」
これが、いま私たちの前にある事実の全体です。
エトミデートとは、本来は麻酔の導入や鎮静に使われる医薬品成分で、国内では未承認のものです。これが電子たばこ用に違法転用される事例が社会問題化し、昨年五月、厚生労働省が指定薬物として規制しました。使用すると手足がけいれんし、その様子から「ゾンビたばこ」という、あまりにも即物的な通称で呼ばれています。
スポーツと薬物の、長い長い歴史
この問題を、カープだけの不祥事として眺めてしまうと、本質を見誤ります。スポーツと薬物のあいだには、一世紀を超える因縁があるからです。
まず「ドーピング」の歴史があります。一九八八年ソウル五輪、男子百メートル決勝で世界記録を叩き出したベン・ジョンソンが、筋肉増強剤の陽性反応で金メダルを剥奪された事件は、世界のスポーツ観を変えました。
二〇〇〇年代のメジャーリーグは「ステロイド時代」と呼ばれ、二〇〇七年のミッチェル報告書によって、本塁打記録の輝きそのものに疑問符が打たれました。
日本のプロ野球も二〇〇七年にアンチ・ドーピング規程を導入し、国家ぐるみのドーピングが発覚したケースまで、この歴史は続いています。
しかし、もうひとつの歴史があります。競技力向上とはまったく無関係な、いわゆる嗜好目的の薬物です。二〇〇八年の大相撲では複数の力士による大麻問題が発覚し、日本のプロ野球史においても、引退後に覚醒剤取締法違反で有罪判決を受けた大打者の例を、私たちは知っています。
そして今回の件は、明らかに後者です。エトミデートは、打球を遠くへ飛ばしません。速い球も投げさせません。それどころか、手足をけいれんさせるのです。競技者にとって、これほど無益で、これほど有害な物質もそうはありません。
弊害を、はっきり書きます。エトミデートは呼吸を抑制します。副腎皮質の機能を抑え、体がストレスに対抗するホルモンを作れなくします。
依存が形成され、海外では死亡例も報告されています。アスリートの身体という、何万時間もかけて磨き上げられた精密機械を、内側から静かに壊していく物質です。
宿曜占星術で読む|三度、同じ宿の下で
ここから占術に入ります。人ではなく、日付を読みます。
宿曜占星術は、月の運行にもとづく二十七(あるいは二十八)の「宿」で日の質を読む、密教由来の占星術です。この事件の主要な節目を、宿に置き換えてみました。
- 二〇二五年十二月十六日(陽性反応)……参宿
- 二〇二六年一月二十七日(逮捕)……箕宿
- 一月三十日(家宅捜索)……女宿
- 二月二十四日(契約解除)……箕宿
- 五月十五日(有罪判決)……氐宿
- 七月十三日(週刊誌報道)……尾宿
- 七月十四日(「コメントすることはない」)……箕宿
お気づきでしょうか。球団が動いた日、そして動かなかった日が、三度とも「箕宿」に重なっています。
逮捕。契約解除。そして沈黙。この三つが、同じ宿の下に並んでいるのです。
箕宿の「箕」とは、穀物を風でふるい分ける農具のこと。この宿は風を司ります。社交的で人が集まりやすく、話が広がりやすい。良くも悪くも、風のように情報が動いていく宿です。
風の宿の日に、球団は「コメントすることはない」と言いました。
風がもっとも吹く日に、口を閉じたのです。けれど風は、口を閉じたからといって、止まりはしません。むしろ、語られなかった空白のところへ、風は勢いよく吹き込んでいきます。噂は、真空を嫌うのです。
数秘術で読む|「22」の日に、沈黙が選ばれた
数秘術で、この二日間を見てみます。
七月十三日(週刊誌が写真を掲載した日)……2+0+2+6+7+1+3 = 21 → 3 七月十四日(本部長が沈黙を選んだ日)……2+0+2+6+7+1+4 = 22
十四日の数は、一桁に還元されません。22は、11・33と並ぶマスターナンバーのひとつだからです。
そして数秘術において、22は「マスタービルダー(大いなる建築家)」と呼ばれます。個人の願いを超えて、多くの人のために大きな構造を設計し、実際に建てる。それが22という数に託された役割です。夢を語るだけの数ではありません。図面を引き、基礎を掘り、柱を立てる数です。
構造をつくることを求められた日に、選ばれたのは、沈黙でした。
私はここに、この問題のいちばん静かな痛点があるように思います。
タロットで読む|女教皇から、魔術師へ
大アルカナ二十二枚から、三枚を引きました。人物ではなく、この問題の構造・核心・処方を問うスプレッドです。
構造:女教皇(II)/正位置
女教皇は、二本の柱のあいだに座り、背後にヴェールを垂らし、手にした巻物を胸に抱いて、何も語りません。彼女は知っています。知っていて、語らないのです。
このカードが「構造」の位置に出たことに、私はしばらく言葉を失いました。「コメントすることはない」という一文を、これほど正確に絵にしたカードが、ほかにあるでしょうか。
女教皇は、決して悪いカードではありません。軽々しく語らぬこと、内なる叡智を守ること。それは組織の危機管理として、たしかに一つの見識ではあります。捜査中であること、係争中であること、語れない事情が実際にあることも、私は理解しています。
けれども、女教皇の背後のヴェールには、ざくろの実が描かれています。ざくろは、実がはじけて、無数の種がこぼれ落ちる果実です。閉じたヴェールは、いつまでも閉じてはいられない。カードは、そう告げています。
核心:隠者(IX)/正位置
隠者は、灯りを掲げて、たった一人で山道を歩む老人です。
このカードは二つの顔を持ちます。ひとつは「隠れる」という顔。世間から身を引き、沈黙のうちにこもること。もうひとつは「照らす」という顔。彼が手にしているのは、閉じた本ではなく、灯りなのです。
隠者は、闇の中を歩くために灯りを持ったのではありません。後から来る者に、道を示すために掲げているのです。
この問題の核心は、まさにこの二択の上にあります。隠れるのか。照らすのか。隠者は同じ一枚のカードの中に、その両方を持っています。どちらを選ぶかは、カードではなく、人が決めることです。
処方:魔術師(I)/正位置
魔術師は、卓上にワンド・カップ・ソード・ペンタクルの四つの道具をすべて並べ、片手を天へ、片手を地へと向けています。
このカードの本質は、「隠れていたものを、目に見えるかたちにする」ことです。潜在を顕在にする。意志を、具体的な行為へと変換する。
処方の位置に魔術師が出たということは、求められているのは新しい何かではなく、すでに手元にある道具を、実際に使うことだという意味になります。球団には調査権があります。全選手の再調査を行うと、五月の時点で自ら表明しています。道具は、もう卓の上に並んでいるのです。
女教皇(語らない)から、隠者(隠れるか、照らすか)を経て、魔術師(顕す)へ。
三枚は、隠されたものが明るみに出るまでの、一本の道筋をきれいに描き出していました。
ルーンで読む|エイワズ、イチイの樹
最後に、ルーンを一文字。出たのはエイワズでした。
エイワズが象徴するのは、イチイの樹です。
イチイという樹には、恐ろしい二面性があります。その全身が、猛毒なのです。葉にも種にも樹皮にも、タキシンという毒が含まれ、誤って口にすれば命に関わります。
けれども古代のヨーロッパ人は、まさにこのイチイの木から、弓を削り出しました。しなやかで強靭なイチイの弓は、狩りを支え、人々の命をつなぎました。
猛毒の樹が、生を支える道具になる。
エトミデートは、もともと麻酔の導入に使われる医薬品でした。手術台の上で、人の意識をやさしく手放させ、その命を守るための薬です。それが本来の用途を離れ、電子たばこに詰められた瞬間、ただの毒に変わりました。
同じ物質が、置かれる場所によって、薬にも毒にもなる。エイワズは、そのことを静かに指し示しています。
そしてエイワズには、もうひとつの意味があります。境界。しきい。こちら側と、あちら側を分ける一本の線です。
同席と、使用のあいだ。交友と、共犯のあいだ。そこには、たしかに線が引かれています。細い線ですが、たしかにあります。その線を引き直し、どちらの側に誰がいるのかを明らかにできるのは、占いではありません。調査と、事実と、言葉だけです。
核心を、はっきりと申し上げます
四つの占術を並べ終えて、私が申し上げたい核心は、三つです。
第一に、これはドーピング問題ではありません。エトミデートは競技力を向上させません。つまり、既存のアンチ・ドーピング体制の網には、そもそもかからない類のものです。競技のためではなく、遊びの延長として、選手の生活の側から入り込んでくる。
ここに制度の空白があります。「うちは検査をしています」という説明は、この問題に対する答えになっていないのです。
第二に、沈黙は、疑われた選手を守っていません。「コメントすることはない」という言葉は、球団を守ったかもしれません。けれど、写真に写ってしまった選手にとって、この沈黙は救いになるでしょうか。彼らが本当に潔白であるならば、その潔白を証明できる立場にいるのは、球団だけなのです。
語らないことは、疑いを晴らさないことと同義になってしまいます。ヴェールの向こうに、無実の人がいるかもしれない。だとすれば、ヴェールを開けないことは、その人を守っていないのです。
第三に、そして最も深いところで。この問題を「選手個人の弱さ」に矮小化する限り、必ず繰り返されます。
若い。お金がある。地元の英雄である。周りに、たくさんの人が寄ってくる。断ると角が立つ。誘われた席に、なんとなく座ってしまう。
これは意志の弱さの物語ではありません。構造の物語です。問われているのは選手の資質ではなく、選手を取り囲む環境を、球団が、そして球界が、どう設計しているかということです。誰と会うのか。どこまでが交友で、どこからが危険なのか。それを「常識でわかるだろう」と放り出してきたことの帰結が、いま写真になって出てきているのではないでしょうか。
数秘術が示した「22」、大いなる建築家の数は、まさにそれを言っていたように思えてなりません。
必要なのは、断罪ではなく、設計です。
まとめ
隠者は、灯りを掲げていました。あれは、自分の足元を照らすためではなく、後から来る者に道を示すためのものです。
いま広島東洋カープが手にしているのは、まさにその灯りだと思います。掲げるか、伏せるか。それだけの話です。
そして、その選択を見ているのは、報道陣でも週刊誌でもなく、マツダスタジアムの赤いスタンドを埋める人々と、いつかあの場所に立ちたいと願っている、まだ小さな子どもたちなのです。
風の宿は、まだ吹いています。
今回使用した占術について
宿曜占星術(すくようせんせいじゅつ)……月の運行をもとに二十七(または二十八)の「宿」で日と人の質を読む、密教由来の占星術です。空海が日本に伝えたとされます。今回は人物ではなく、事件の各日付の質を読むために用いました。
数秘術(すうひじゅつ)……数を一桁に還元し、その数が持つ性質から意味を読む占術です。ただし11・22・33は「マスターナンバー」と呼ばれ、還元せずにそのまま扱います。22は「マスタービルダー」、すなわち構造を設計し建てる数とされます。
タロット……七十八枚のカードで状況を読む占術です。今回は象徴性の強い大アルカナ二十二枚のみを用い、実在の人物ではなく「問題の構造・核心・処方」という三つの位置に対して展開しました。
ルーン……古代北欧の文字体系を用いた占術です。二十四文字のエルダー・フサルクが一般的で、各文字が自然物や概念を象徴します。エイワズはイチイの樹を表し、毒と守り、そして境界を意味します。
※本記事は報道された事実にもとづく分析であり、写真に掲載された現役選手三名の薬物使用を示唆するものでは一切ありません。同席は使用の証明ではなく、三名は訴追されておらず、推定無罪の原則の下にあります。
※薬物の使用や依存についてお困りの方、ご家族に不安を抱えていらっしゃる方は、お一人で抱え込まずに、お近くの精神保健福祉センターや専門の相談窓口にご相談ください。回復への道は、必ずあります。
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