風水・九星方位気学・西洋占星術・花札占術で読む
四十度、と聞いて、そっと窓の外を見た方も多いのではないでしょうか。
本日七月二十一日の午後一時五十六分、岐阜県郡上市の八幡で、最高気温が四十度に達しました。今年、国内で初めての四十度到達です。そして「酷暑日」という名称が今年四月に決まってから、初めての四十度でもありました。
新しい言葉が生まれ、その言葉が初めて使われた日。あまり嬉しくない、初めてです。
けれど今日は、この暑さを嘆くためではなく、これから続く夏をどうやわらかに越えていくかを、四つの占術とともに考えてまいります。
どうか、涼しいお部屋で、ゆっくりとお読みください。
今日、何が起きたのか
気象庁は今年四月、最高気温が四十度以上の日を「酷暑日」と名づけました。それまで、三十五度以上は「猛暑日」と呼ばれてきましたが、四十度という領域には名前がありませんでした。名前がつくということは、それがもう例外ではなくなった、ということでもあります。
そして本日、郡上市八幡で四十度。命名以降、初めての酷暑日となりました。
各地で猛烈な暑さが続いており、三十五度以上の猛暑日が続出しています。報道によれば、この猛暑は週末にかけて続く見込みで、二十三日の木曜日には名古屋市や岐阜市、埼玉県熊谷市でも最高気温四十度、つまり酷暑日が予想されています。
まず、いちばん大切なことをお伝えします。
屋外での作業や外出は控えてください。室内でも、ためらわずに冷房を使ってください。こまめに水分と塩分を。
これは、心がけの問題ではありません。命に関わる暑さです。
「もったいない」も「我慢」も、この気温の前では美徳になりません。エアコンをつけることは、贅沢ではなく、必要なことです。どうか、そのことだけは先に申し上げておきたいと思いました。
その上で、ここから先は、少し肩の力を抜いてお読みください。
九星方位気学で読む|この年の真ん中には、水がある
まず、今年という年の全体を見てみましょう。
九星方位気学では、九つの星が年ごとに盤の上を移動します。二〇二六年の盤を広げてみると、静かな発見がありました。
中宮、つまり盤のいちばん真ん中に座っているのは、一白水星です。
一白水星は、九つの星のうち、ただ一つの水の星です。
これほど暑い夏に、年の中心には水が座っている。
もちろん、これは気温を予測するものではありません。けれど、象徴として受け取るなら、こう言えるのではないでしょうか。
この一年を通して、私たちが真ん中に置くべきものは「水」である。
水分補給という意味でもあります。水辺で涼をとるという意味でもあります。そして、水のように柔らかく、無理をせず、流れに逆らわないという意味でもあるでしょう。
もう一つ、面白い配置がありました。
九紫火星、つまり火の星は、今年は巽宮(そんきゅう)、東南の方位にいます。
巽宮は、風を司る宮です。
火の星が、風の宮にいる。
風は、火を煽ることもあります。けれど風は、火照りを冷ますものでもあります。
暑さがこたえるとき、私たちが求めるのは冷たさそのものよりも、ひとすじの風ではないでしょうか。打ち水をしたあとの、あの少し湿った風。夕暮れに吹き抜ける、あの風。
盤の上では、火は風とともにありました。
風水で読む|家の中に、涼を招く
風水の目で、お住まいを見てみましょう。難しいことは申しません。今日から、そっとできることだけをお伝えします。
北の方位、坎宮(かんきゅう)は、水を司る方位です。
風水では、北は冷たさと静けさの方位とされます。もしお部屋の北側に窓があるなら、そこを涼の入口として大切にしてください。北側の窓辺に、青や水色の小物を置いたり、ガラスの器に水を張って浮き花を浮かべたりするのは、風水的にも理にかなった涼のとり方です。
見た目の涼しさは、実際に体感温度を下げるとも言われます。目から入る涼しさを、どうか侮らないでください。
東南、巽宮(そんきゅう)は、風を司る方位です。
風水において、巽宮は「風通し」と「良い縁」を運ぶ方位とされます。この夏は、東南の窓や風の通り道を、どうか塞がないでください。ものを積み上げない。カーテンを軽やかなものに替える。それだけで、家の中の気の流れが変わります。
そして、風鈴です。
風鈴は、風がなければ鳴りません。逆に言えば、風鈴が鳴るということは、そこに風があるという証です。音で涼を感じるという日本の知恵は、風水的にも「気が動いている」ことのしるしなのです。
南、離宮(りきゅう)は、火を司る方位です。
夏の南側は、どうしても熱がこもります。ここは、遮ることを考えましょう。すだれ、よしず、遮光カーテン。緑のカーテンも素敵です。
風水では、遮ることは決して「閉じること」ではありません。必要な気だけを通し、過剰なものを和らげるのが、良い遮り方です。
西洋占星術で読む|太陽が、自分の家に帰る
西洋占星術に目を移します。
明日、七月二十二日ごろ、太陽は蟹座を離れ、獅子座に入ります。
獅子座を支配する星は、何だと思われますか。
太陽そのものです。
十二星座の中で、獅子座だけが太陽を支配星に持ちます。つまりこれから約一か月、太陽は自分の家に帰り、もっとも力を発揮する季節を迎えるのです。
暑いはずです。占星術的にも、いま太陽は本気なのです。
けれど、獅子座という星座を、少し違う角度から見てみましょう。
獅子座が象徴するのは、輝き、創造、遊び心、そして「楽しむこと」です。子どもが無心に遊ぶような、あの明るさ。
太陽が最も強い季節とは、裏を返せば、もっとも堂々と楽しんでいい季節でもあります。
暑さと戦うのではなく、この季節ならではの楽しみを見つけること。それが、獅子座の時間の過ごし方です。
かき氷を食べる。夕暮れに散歩する。夏の音楽を聴く。冷たいシーツで眠る。
小さなことでかまいません。獅子座の太陽は、我慢している人より、楽しんでいる人を照らす星です。
花札占術で読む|三枚の札が語ること
四十八枚の花札から、三枚を引きました。
いまの暑さの質……十月・紅葉「紅葉のカス」
夏の盛りに、秋の札が出ました。
紅葉です。十月の札。まだずいぶん先の季節です。
けれど私は、この札をこう受け取りました。いまの暑さの中に、すでに秋の予感が含まれている、と。
どんな夏も、必ず終わります。四十度の日にそう言われても実感が湧かないかもしれませんが、暦は確実に進んでいます。紅葉の札が出たことを、遠い約束のように受け取りたいと思いました。
そしてカス札であること。それは、いまはまだ点にならない、時期が来ていないということです。焦らず、待つ。それだけです。
涼を得る手がかり……三月・桜「桜のカス」
桜の札です。春の花。
これも季節外れに思えますが、桜という木のことを考えてみてください。
桜は、夏には葉を茂らせます。
花の季節が終わったあと、桜は大きな葉を広げ、その下に深い木陰をつくります。桜の花は有名ですが、桜の木陰の涼しさを思い出す人は、意外と少ないかもしれません。
涼を得る手がかりが「桜」であるということを、私は木陰を探しなさいという助言として読みました。
日傘をさす。街路樹の下を歩く。公園の木陰で休む。エアコンの効いた場所へ避難する。
華やかな解決策ではありません。カス札です。けれど、いちばん確実な涼は、たいてい地味な場所にあります。
夏の終わりに向けて……七月・萩「萩に猪」
三枚目に、光る札が出ました。
萩に猪。七月の札で、十点札です。カス札が二枚続いたあとに、点になる札が出ました。
猪は、まっすぐ突き進む力の象徴です。そして萩は、秋の七草のひとつで、夏の終わりから咲き始める花です。
猪突猛進、という言葉があります。けれどこの札を、私はこう読みました。
夏の終わりに、力が戻ってくる。
いまは、体力を温存する時期です。無理に動かず、木陰を探し、水を飲み、涼しい場所にいる。それでいいのです。
そして萩が咲くころ、猪のように動ける日が、また来ます。
三枚の札は、「いまは耐えるときではなく、休むとき。動くのはその先」と語っているように読めました。
エレガントな酷暑対策を、いくつか
占術を離れて、実際のすごし方をご提案します。優雅に、と申しましても、難しいことではありません。
まず、朝と夕方に時間を移すこと。
正午から午後三時は、いまや外にいるべき時間ではなくなりました。用事は朝のうちに済ませる。散歩は日が傾いてから。買い物は夕方に。
この時間の移し替えは、我慢ではなく、季節への礼儀のようなものだと思います。真夏の正午を避けるのは、負けではありません。
次に、目と耳から涼をとること。
ガラスの器。青いランチョンマット。水色のリネン。風鈴の音。氷の触れ合う音。
体感温度は、視覚と聴覚にかなり左右されると言われます。冷房を効かせながら、目にも涼しいものを置く。これは古くからの日本の作法であり、いちばん優雅な暑さ対策です。
それから、冷たすぎるものを摂りすぎないこと。
冷たい飲み物は美味しいのですが、そればかりでは胃が疲れてしまいます。常温の水や、ぬるめのお茶を挟んでみてください。身体の内側は、意外と冷えを嫌います。
そして、湯船のこと。
こんなに暑いのにお風呂、と思われるかもしれません。けれど、ぬるめのお湯にゆっくり浸かると、そのあと身体は上手に熱を逃がしてくれます。シャワーだけの日が続いているなら、一日だけ、ぬるめの湯に浸かってみてください。眠りの質が変わるはずです。
最後に、いちばん大切なことをもう一度。
エアコンは、つけてください。電気代が気になるお気持ちは、よく分かります。それでも、体調を崩して過ごす数日のほうが、ずっと大きな損失です。
我慢は、エレガントではありません。自分を大切にすることが、いちばん品のある選択だと、私は思っています。
まとめ
四つの占術が、それぞれの言葉で、同じことを言っていました。
九星方位気学は、この年の真ん中に水が座っていることを教えました。風水は、北に涼を、東南に風を求めよと示しました。西洋占星術は、太陽が自分の家に帰る季節であり、それは戦う季節ではなく楽しむ季節だと告げました。そして花札は、いまは休むとき、動くのはその先だと語りました。
四十度という数字は、たしかに厳しいものです。
けれど、盤の真ん中には水があります。火の星は、風とともにあります。桜は、夏には木陰をつくります。そして萩が咲くころには、また力が戻ってきます。
どうか、無理をなさらないでください。
窓辺にガラスの器をひとつ置いて、冷たい水を注いで、エアコンの効いた部屋で、ゆっくり過ごしてください。
夏を乗り切るのではなく、夏をやり過ごす。
それが今年の、いちばんエレガントな作法なのだと思います。
今回使用した占術について
九星方位気学(きゅうせいほういきがく)は、一白水星から九紫火星までの九つの星と八つの方位を組み合わせて運勢を読む占術です。星は年ごとに盤の上を移動し、盤の中心を「中宮」と呼びます。一白水星は水を、九紫火星は火を象徴します。
風水(ふうすい)は、土地や建物の気の流れを読む中国由来の環境学です。八つの方位にはそれぞれ性質があり、北の坎宮は水と静けさを、東南の巽宮は風と縁を、南の離宮は火と明るさを司るとされます。
西洋占星術(せいようせんせいじゅつ)は、天体の配置から時の質を読む占術です。太陽は約一か月ごとに星座を移り、七月下旬から獅子座に入ります。獅子座は太陽そのものを支配星に持つ、唯一の星座です。
花札占術(はなふだせんじゅつ)は、四十八枚の花札を用いる日本独自の占いです。各札に季節・植物・故事が結びついており、その象徴を読みます。萩に猪は十点札にあたります。
※本記事は暑さとの向き合い方について、占術と一般的な生活の知恵をご紹介するものです。体調に不安のある方、持病をお持ちの方は、必ず医師の指示に従ってください。熱中症が疑われる症状(めまい、頭痛、吐き気、汗が出ないなど)がある場合は、ためらわずに医療機関にご相談ください。
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